2005.8.24
■金正日の指示が貫徹されたソウル
以下引用するのは最近の幹部講演資料(内部文書、朝鮮労働党出版社)「歴史的な6・15北南共同宣言発表以降、南朝鮮で大きな変化が起きていることについて」の基本内容です。この資料では、
「歴史的な6・15北南共同宣言(以下共同宣言)の採択から数年が過ぎた。共同宣言の発表は我が民族の祖国統一の偉業に重大な転換的局面をもたらす歴史的な出来事として、日に日にその正当性と有効性が大いに発揮されている。偉大なる将軍様が準備して下さった歴史的な共同宣言が発表された後、南朝鮮では劇的な変化が起きている」
と述べ、2000年6月15日以降、対南赤化統一路線がいかに貫徹されているかを指摘しています。
「最近、南朝鮮では人民が我々を支持して同調しており、反米機運がいっそう高まっている」
という金正日の言葉を前提としたこの資料は、
「まず、南朝鮮人民の中から偉大なる将軍様に対する称賛の声がいっそう鳴り響いており、我々を支持しようとする機運が日々高まっている」
と力説しています。また、
「かつて南朝鮮で、敬愛する将軍様の偉大性の宣伝はほとんどが非合法的に行われていた。宣伝することがあるとすれば、一部の出版物に白頭山三大将軍(金日成、金正日、金正日の生母である金聖愛)の肖像画を掲げる程度に過ぎなかった。それ以外に偉大性を宣伝することは南朝鮮傀儡当局の第一の弾圧対象になっていた。しかし、歴史的な共同宣言が採択されて以来、合法的に行われている。現在では年間に、出版、報道に千枚以上の白頭山三大将軍の偉人像が掲げられ、偉大性についての記事は数千件が掲載されている」
と伝えています。
○朝鮮労働党対南事業部の話は真実だ
資料が主張する通り、韓国では、
「今やマスコミ各社は、既に公開された偉大なる将軍様の映像や偉大性の資料を紹介するのでは満足できず、自ら取材団を編成し中国東北地方などへ出かけ、白頭山三大将軍の革命史跡資料を新たに発掘し、広く紹介、宣伝している」
という状況です。実際にソウル特別市城東区龍踏洞に本拠を置く「自主民報」(www.Jajuminbo.net)というサイトでは、光復(訳註・日本からの独立)60周年記念特集コーナーを設け、「金正日将軍、百戦百勝」という荒唐な作り話を連載中です。
○偉大なる将軍様が金大中に会ってやった徳
資料は続けて、
「偉大なる将軍様が金大中に会ってやった時でさえ、大学では共和国の国旗掲揚が弾圧の対象となっていたのに、今や釜山と大邱など南朝鮮の主要都市の真ん中に共和国旗が翻り、「平壌の風」、「以北の風」が南朝鮮中を覆っている」
と述べています。また、
「南朝鮮のマスコミは、米国の核策動と関連して、問題解決の根本的な鍵が平壌にあり、米国の戦争遂行能力を一瞬のうちに麻痺させられる軍事戦略と領軍術、高度な対米戦略を体現される敬愛なる将軍様がいらっしゃる限り、朝鮮半島でいついかなることが起きて驚かされるかわからないので、心の準備をしっかりとしておくこと」
と力説しています。また、資料は
「平壌で進められている各種行事に参加していた南朝鮮代表らは、我が国の代表と会った席で、南朝鮮はもちろん東アジアさらに世界を見ても金正日国防委員長のような立派な指導者はまたといない、金正日国防委員長がいらしてこそ6・15共同宣言があったのだ、いつも我が民族を見下していた米国のやつらが我が朝鮮民族を尊重する驚くべき現実が繰り広げられているなどと語った」
と主張しています。このような北朝鮮の主張がこれまでの嘘とは違ってそれなりに根拠があることは、次のようなサイトを見てみると容易に理解できます。
▲全国民衆連帯 ▲統一連帯 ▲韓総連 ▲民衆の声 ▲祖国統一汎民族連合 ▲本当の言葉で ▲南北共同実践連帯 ▲汎青学連
○金正日が統一大統領
資料はさらにだめ押しで金正日を統一大統領に、平壌を統一祖国の首都という、話にもならない主張を展開しています。
「民心が偉大なる将軍様に傾き、学界では平壌が統一祖国の首都でなければならないという主張まで出ている」
というのがそれです。一方で
「歴史的な共同宣言の発表以降、敬愛する将軍様の偉大さに対する賞嘆の声と我が共和国に対する憧憬が高まり、南朝鮮社会では我々を手本にし、我々式の表現を使うことが非常に増えている」
としつつ、
「今や『金日成将軍の歌』、『金正日将軍の歌』をはじめとする我々の不滅の革命頌歌と革命歌謡が公の行事で次々と登場するほどだ」
と主張します。
○やはり美女応援団は対南宣伝の先兵
「昨年、我が国の応援団が釜山のアジア大会に登場し、南朝鮮の地に旋風を巻き起こした時も、南朝鮮の人々は父なる首領様が大徳山哨所で使われた『一当百(訳注・一騎当千の意)』という表現をそのまま引いて、『金正日国防委員長が送った一当百の乙女軍団』、『一当百の選手たち』とおおっぴらに言い、北と南の応援団が『渾然一体』となったとまで語った」
という北朝鮮の主張は、やはり美女応援団を対南宣伝の先兵として活用したことを証明しています。続けて資料は、
「最近、南朝鮮では反米運動が大衆運動として広まると『我が国民が一心団結した』、『反米自主』などの言葉が現れ、社会では『強盛大国』、『統一の花』、『勝利の隊伍』という我々式の表現が広く使われている。これと関連して、南朝鮮傀儡当局は『南北対話以降、用語使用において北側の語彙を使うことが増えた』、『北の文化がなんの拒否感もなく伝播している』と悲鳴を上げている」」
と記しています。
○反北と親北の力量関係評価
「次に南朝鮮では、反共保守勢力に比べ、連共勢力が力量としては優勢をしめており、『我が民族同士で』という大命題の下、南朝鮮の人民の民族自主意識、反米自主意識が急激に高まっている」
と書いたこの資料は、急増する親北勢力の蠢動に対して私たちが警戒心を高めなければならないことを示唆しています。
「共同宣言以降(中略)自分を反共保守だと言っていた人々は80%、進歩派だとした人は20%未満だった。それに対し我々の思想に共感し同調した勢力は地下の少数に過ぎなかった。しかし今は逆転した。社会の主流だと言っていた反共保守勢力が追いやられ、弾圧され息を潜めていなければならなかった進歩的運動勢力が翼を広げ主流となった。傀儡大統領選挙で極右保守勢力であるハンナラ党の候補が敗れ、進歩的勢力の指示を受けた候補が当選するという劇的な結果になったのもこれと関連している。保守勢力はさらに社会の隅にやられ、民主化運動の先頭に立って当局の弾圧を受けていた運動家出身者が権力を握った。また80年代の学生運動勢力である『三八六世代』が、社会の中枢はもちろん青瓦台にまで進出するなど、かつては想像もできないことが繰り広げられている」
北朝鮮の主張が完全なでっち上げではないという考えを打ち消すことはできません。
○南朝鮮に朝鮮労働党政権が登場する
今、朝鮮労働党の対南戦略は驕慢の限界を越えたものであることも文書からわかります。
「保守勢力の中には、この先10年、南朝鮮に『朝鮮労働党政権』が登場するかも知れないという声が上がっている。南朝鮮では歴代のファッショ当局が我々と関連付けて数多くの愛国者を虐殺、処刑してきたもろもろの『事件』が今年に入って弾圧事件として再究明され、むしろ事件をでっち上げた者たちを処罰した。これら全ての変化は、偉大なる将軍様が歴史的な共同宣言を出され、南朝鮮で進歩勢力の活動空間を広げて下さり、ごく少数の反共保守分子を徹底的に孤立させた結果」
であると、この資料は書いています。続けて、
「共同宣言に明記された『我が民族同士で』という大命題はやはり南朝鮮人民の中に民族自主意識を高めることに大きく作用した」
「南朝鮮人民は、我々が強力な軍事的抑止力を持ったということについて、『爆弾宣言』、『とどめの一撃』、『それこそ米国に衝撃と恐怖』と言いつつ、我々が米国に打撃を加えたことについて驚嘆を禁じ得ない」
と書いています。
○韓国内の反米を助長し、反米指示を下している労働党
現実を増幅、歪曲しながら韓国内の反米感情を助長し、親北勢力に次の指令まで下達してい労働党でなければ次のような話をできるでしょうか。
「最近、南朝鮮の各界各層を対象にした世論調査によれば、回答者の82%が北の立場を考慮して核問題に対応しなければならないとした。そして大部分の人が、もし米国が朝鮮半島で戦争を起こしたら、南朝鮮『政府』が米国側に立つのではなく、北側について米国と戦わなければならないと示した。また南朝鮮ではブッシュの『悪の枢軸』発言を糾弾する反米闘争から始まり、米軍装甲車による女子学生殺人事件に対するろうそくデモなど、常に反米闘争が進められている。このような反米闘争はイラク戦争に反対する反米反戦闘争として盛り上がり、女子学生追悼ろうそくデモは今も南朝鮮のあちこちで展開されている。反米闘争の中で、ソウルの飲食店に『米軍おことわり』という張り紙が貼られ、米軍兵士が真っ昼間に道で殴られ、米軍基地が襲撃されるなど、かつて米軍にとって『天国のようなところ』だった南朝鮮が、今や『最も行きたくない所』に変わった。女子学生殺人事件について、南朝鮮駐屯米軍司令官、南朝鮮駐在米国大使、米国務長官、米大統領らが、うわべだけとは言ってもいちいち謝罪したことは、これまで想像もつかなかったことだ」
というのがそれです。締めくくりの部分でこの資料は、
「このように共同宣言以降、南朝鮮人民の反米自主意識、民族意識は以前とは比べものにならないほど高くなっている。以上の事実は。共同宣言こそが、南朝鮮において、民族和解と団結、祖国統一という大勢に誰も逆らえないほど大きな変化を内包した民族統一の宝刀であることを雄弁に物語ってくれる。全てのイルクンは、歴史的な6・15共同宣言を準備して下さり、祖国統一の転換的局面を開いて下さった敬愛なる将軍様の偉大さをよく理解し、将軍様の先軍領導を受け、祖国統一の歴史的偉業を成し遂げる闘争において、自己の全戦力と知恵を捧げなければならない」
と述べています。
今後朝鮮労働党の指示がどのような者たちによって貫徹されていくのか、注目していかなければなりません。
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