2005.5.12
<記事>
Herald Tribune 2005.5.12,13より
5月5日から8日間の日程で台湾の野党第二等の親民党(People First Party)の党首である宋楚瑜(James Soong)が中国を訪問し、中国国内で大歓迎を受けている。中国の同氏の故郷である湖南の湖南大学、そして北京の清華大学でそれぞれ講演し「台湾は中国の経済発展と豊かさから学ぶべきだ」、「台湾海峡の経済発展は中国と台湾には共通の責任がある」そして「中国は一つだということを台湾も認めるべきだ」と述べた。
<解説>
国民党の連戦主席に続いて、野党第二党の訪中だ。もともと経済界による支持が中心であるがために、経済優先主義を採用する現実主義的政党である上に、1944年に中国本土の湖南省で生まれ、1949年に台湾に渡った同氏ならではの行動と発言だ。こうしたスタンスならば中国が大歓迎をするわけだ。「台湾の台湾化」という李登輝前総統そして陳水扁総統の「理想主義」は、台湾国内の経済界から崩されていることになる。当然、陳総統はこうした発言に対して厳しく批判をしているが、支持率の低下は顕著だ。台湾において「現実主義」と「理想主義」の対立が根深いことを示しているが、日本側としては、この「理想主義」をどのようにバックアップしていくかを真剣に考えるべきだろう。
尚、Herald Tribuneでは、同党首の「台湾独立には反対だ」という静華大学での発言を掲載していないが、現地筋からの別の報道では記載されている。この報道の違いがどのような理由によるのかは不明だ。(真鍋貞樹)
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